「ありがとう」、そのひとはいいました。
人のために何かをつくりたかった。はじまりは小さな想いからでした。
普通に生活をしていると誰しもが忘れてしまった感情に気づかないことが世の中にはいっぱいあると思います。
それは、今現在の生活や仕事などに追われ本来の自分を見失いかけている人が多いのではないかという疑問からでした。
何が自分にできるのだろうか。と考えたとき周りに同じように考える人はいませんでした。
そこで、自分がものを作り人に使ってもらうことができたら誰かの役にたつのではないかと考えたのです。
しかし、考えはあっても知識も、資金もない状態でないないづくしでした。それでも「もの」を作り出したい。という想いには変わりはありませんでした。
「もの」をどのように形にしていったらよいかを考えたとき、「世の中にないもの」、「昔から愛用されているもの」、「今ではあまり使用されていないもの」、「あったけれども忘れているもの」、多くの選択肢の中から出てきた答えが「水栽培」でした。今でも使用され、これからも使用されるもので簡単に利用できる「もの」は、ユニバーサルになるのではないかと考えたからです。
これは、自分が考えていた「人のために何かを作る」という原点でした。
水栽培をするには水栽培容器が必要ですが、ただの観賞用の道具ではなく、人のために利用できないかと考えました。
その出発点からデザイン、使用方法などを検討し今の形状にになりました。今まで見たことのない形をしているので抵抗を感じると思いますが、大切なのは「もの」には「こころ」があるということです。
「こころ」と「植物」をつなげるものは、生きていることです。
人の体は約60%?70%は水でできています。また、植物も水がなければ生きていけません。
植物だけではなく人の体もこころもうるおっていたほうが幸せに生活できるのではないでしょうか。
植物=こころ=体=うるおい。それは「水」という共通点につながります。
水栽培で植物を育てる過程の中で、本来の見失いかけている自分を取り戻してもらいたいと思っています。
また、介護にも貢献できると考えています。近年高齢社会といわれ、介護などの問題も増えてきました。介護の中では自立することが大切であり、過剰介護で逆に介護者を増加させることも指摘されています。
介護には「自立」という簡単で難しい問題があります。こころと体の自立を考える中、何かを自分の手で育てることができたら、その行動の中で喜びが生まれ、それが力となり自立につながるのではないかと考えます。
その中で注目したのがきゅうこんの水栽培です。
特に栽培が簡単なのは、ヒヤシンスの水栽培です。子供から老人まで誰でも間単に育てられ成長を楽しめます。いつもは花や葉を楽しんでいますが、水栽培は「根っこ」が楽しめるのです。
そして、きゅうこんは寒い冬(低温期間)がなければきれいな花を咲かせることができません。
「人の生き方」を感じてしまうのです。最近メディアで騒がれている暗いニュースなどは、この寒い冬を越せなかった人たちの花みたいに感じてしまいます。
花を咲かせるにはいっぱい根っこを出し、お水を吸って、きゅうこんだけの栄養で、きれいな花を咲かせます。この生き方こそ人が学ばなければいけないリズムではないでしょうか。
今回は根っこをハートの中に入れました。
こころの中に根を伸ばしてほしいという想いで作成しました。また根をハートの中に入れることで水交換などの管理がしやすく、体とこころのリハビリにつながればと思っています。
私は、日常「こうしたほうがいい」、「こうした方がいいのではないか」と考える中で皆様に喜んでいただけるように努力をしています。そこで皆様によく「ありがとう」とお言葉をいただいています。
何気なくしていたことがその人たちに伝わっている瞬間を感じています。
「ありがとう」を水栽培容器を通してもっと多くの人たちに伝えていきたいと想い開発をしました。
開発者 :酒井 光司